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映画「太陽」

映画

映画「太陽」 (2016)

監督・脚本

入江悠

原作・脚本

前川知大

はじめに

戯曲「太陽」を映画化ということで観に行きました。劇団イキウメの前川さん、最近名前を知ったばかりなのですが、スーパー歌舞伎「空ヲ刻ム者」で作・演出したとか。行きたかったな!(そのころは歌舞伎に興味がなかったけど)

観に行くうえで1番注意して見ていたところは(宣伝目的以外で)「映画化した意味」です。

具体的には

  • 舞台で表現できない世界観を表現できているか

ということです(1個しか出てこなかった。箇条書きにした意味がない…)。当然、舞台では板の上で演じることしかできないので、観る側の想像が世界観を表現する上で大きく関わってくると思います。一方、映画だったら観ている側とそうでない側が世界観を共有できると思っています。小説でいうところの100人読んだら100通りの主人公の顔がある、みたいな感じです。

感想

「舞台で表現できない世界観を表現できているか」

と言われたらうーんというところでした。キュリオはできていると思ったのですが、ノクスは暮らしぶりがほとんど分からなかった気がします。鉄彦がノクスに憧れているということが伝わりにくかったと思いました。

結局のところノクスの方を見せていないので、鑑賞する側の想像に任せている気がしました。そうすると映画にする必要はなかったのでは?と感じました。

キュリオとノクスを隔てるゲート

ここでのシーンは舞台っぽいなと。照明だけで夜を示して、場所は動かず、会話だけで物語が進んでいく…。

ここもゲートの向こうに何があるのかあまり分からなかったんですよね。キュリオ側の視点で描いていてあまり見せない、というのはアリなのですが、そうすると先ほど述べたようにノクスに憧れる理由が分からない…。

ゲートで話すシーンは本当に舞台っぽくて。最後の方の結がノクスになって父親と会う場面。結と父親以外に話を聴いている人がいるのに、ほとんど動かない。今まで経験したことのないものだったので面白かったです。親子以外映っていなかったのは残念でしたが。最後の握手は怖かったな。

その他の演出・ストーリー

とりあえずグロいシーンが多すぎてびっくりしました。私は耐性がないので何度が目をそらしそうになりました。別に流血を見る映画、そういったリアルを求める映画ならいいと思うんですが、「太陽」はそういう話ではないので不要だったのではと思いました。腕を切る場面でも、切られた腕が重要ではなくて、そこでも鉄彦たちの表情が重要だと思いました。なのに…「えっ、えっ、いやちょっと気持ち悪いよ、映さなくていいから…」舞台だとそれこそ想像しかできないから、リアルを追求したんでしょうかね…。

後は、鉄彦と森繁が親しくなったところがもう少し何かあったらなと思いました。

他にはキュリオとノクスの性格の違いを出すためかキュリオがうるさすぎた気がしました。主演の二人の演技は好きなんですが、今回はちょっと役が合っていないのかあまりいいとは思えなかったことが一番残念でした。

おわりに

いろいろよくなかったことも言ってしまいましたが、あくまでも映画としてなので…。でもテーマというか題材は本当にいいと思います。キュリオとノクスは現代社会の様々なものに置き換えられると思いますし。

映画を観てこんなにも考えさせられる作品はあまりないと思うので観てよかったなと思いました。