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家族と親について考える -映画「万引き家族」-

万引き家族 (2018)

監督・脚本

是枝裕和

はじめに

第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した本作品。劇場公開時に1度鑑賞し、感動した。今回、改めて観たいと思い、鑑賞した。

感想

 家族とは親とは何かという普遍的なテーマに加え、虐待や雇用などさまざまな問題を絡めつつ描かれていた。

いつものように"今"を映している映画だった。
過去にあったことはよく分からない。その人を形作っているものは誰にも分からないかもしれないなと感じた。
そして、分からないからこそ、なぜそうなってしまったのか、彼らが抱える問題に目を向けることが大切だと思った。

この作品、最初の1時間30分は家族の視点でしか見ていないのである。そして残りの30分で刑事の視点で初めてあの家族を見ることになる。私たちはほとんどの場合、人を刑事の視点でしか見ていないことに気づく。彼らがどんな思いで生きてきたのかに目を向けようとせず、過去の出来事からその人の性格が形成されていると無意識に思い込んでいるのではないだろうか。刑事たちに彼らのことを伝えたくなった。

祥太がわざと捕まった理由として私は今の生活から脱却するためだと思った。"家族"以外から万引きは悪いことであると知ったが、"家族"は悪いと言い切っていないことが原因になっていると感じた。祥太自身が正しい生活を送りたいと思い、あのような行動を起こしたのだと思った。
一方で、祥太自身ではなくりん(じゅり)を助けるためだとも言える。自分自身は構わないが、りんを巻き込む(犯罪に手を染めさせる)ことはできないと感じたとの意見もあった。確かにそれもあり得るなと思った。

今回で2回目の鑑賞だが、1回観ただけでは理解しきれていない部分が多いなと感じた。何度も観ることで感じ方も異なりそうだし、理解度も深まるのではないかと思う。

おわりに

是枝監督作品はそこまで主張の強くないものだと思う。今回もこうあるべきとは描かれておらず、ただそこで何があったのかが映っているだけ。だからこそ、さまざまなことを感じることができる。今後もそのような作品にたくさん触れて、いろいろなことを感じていきたい。

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