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原作のその先へ -映画「STAND BY ME ドラえもん 2」-

STAND BY ME ドラえもん 2 (2020)

原作

藤子・F・不二雄

監督

八木竜一

脚本・共同監督

山崎 貴

はじめに

「STAND BY ME ドラえもん」から6年。その続編ということで観に行った。当時の感想としてはドラえもんの最初の設定があまり好きとは言えなかった。加えて、原作の名場面をつなぎ合わせた印象が強かった。それでも3Dという新たな挑戦をこの目で見てみたいと思えた。また今回は大好きな「おばあちゃんのおもいで」がベースになっているということでとても楽しみにしていた。

感想

原作にある話と今回追加された話、前回の続きの話のバランスが非常によかったと思う。前作のようにつなぎ合わせたような印象は薄く、うまくまとまっていたように思えた。
おばあちゃんとの話は、もともと好きということもあって3Dでタイムマシンで昔に戻ってきたのび太くんと同じで、おばあちゃんが歩いているというだけで感動した。のび太くんがランドセルを背負っておばあちゃんに自分のことを話すシーンが好きだった。「誰がのびちゃんの言うことを疑うもんですか」と微笑むところはやっぱり好き。宮本信子さんの声は全く違和感がなくて想像しているのび太くんのおばあちゃんの声で素晴らしかった。

今回はのび太くんとしずかちゃんには2つの軸で話が成り立っていると思った。一つは結婚=幸せになる、ということの再確認。のび太くんは、しずかちゃんは自分を放って置けないという理由で結婚を決めた。それは果てしてしずかちゃんにとって幸せなのだろうかというもの。もう一つはのび太くんはのび太くんのままでいい、のび太くんをのび太くんのまま受け入れるという"個人の尊重"ということ。しずかちゃんを幸せにするために変わらないとというのではなく、そのままでいいんだよというのを描きたかったように思える。しかし、今回この2つを描ききれていなかったように思える。結局、しずかちゃんが素晴らしい人で終わっているような気がした。また、大人になったのび太くんが過去の世界に来てしまったりとか、ドラえもんの道具に関していろいろするなど少し詰め込みすぎていた気もする。そのため、「結婚」「個人の尊重」の軸まで見られなかったように思える。

一方で、過去に行って自分の生まれた日の様子を見に行き、スピーチに盛り込むところはいいと思った。自分が生まれたときの様子を見るのは原作にもあるけど、ここにうまく繋げたのではないかと思う。当初の予定通りだと2020年8月公開であった本作。もしかしたら8月7日公開の可能性もあるわけで、のび太くんの誕生日と合わせてこの話もしたかったかもしれないなと感じた。

原作だとのび太くんのお嫁さんをおばあちゃんに見せるシーンまではなかったので、今回描かれたことはよかった。
そしておばあちゃんが結婚式場に来ているところはすごく感動した。のび太くんが結婚する年齢になると2020年よりも未来の世界に行ってしまうのは謎だなと思ったが…。
おばあちゃんの願いが叶ってとてもうれしかった。

おわりに

今回の一つの軸と思われる個人の尊重。のび太くんをのび太くんのまま受け入れる話をしたと思われる「のび太結婚前夜」で私自身がしずかちゃんのパパのセリフにどうして感動したのか少し分からないところがあるなと思った。こちらもまた見ておきたい。

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